超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか 

★★★★★

 私が一番好きなアニメ映画です。
初めてこの作品を見たときの衝撃度は、半端ではなかった。
自分が生まれたこの年は、ナウシカ、ビューティフルドリーマーも公開された大当たり年。
それでも、こと作画レベルに関して言えば、群を抜いていたと思います。
ストーリーなんて全然わからなかったのに、絵だけで2時間ひきこまれたんだもんなぁ……。

 アニメ版を通して見た今は、もっと色々なことに気付いて、もっと面白い。
愛・おぼえていますかが流れたクライマックスシーンは、歌ができてからタイミングを合わせて描いたとか聞くと、なんかもう鳥肌が立ちます。
たしかに、ブリタイの演説シーンがあの長い間奏に合わせてかぶせられてるのを見ると、そうなんだろうなぁと思う。

 アニメでは顰蹙ものだった、ミンメイからもらったマフラーを未沙に掛けるシーンも、映画では小道具がハンカチに変わっていたけれども、全く違う効果を生みだしていたのが面白かった。
こういうのを見ると、やっぱりアニメ版は作画以外にも改善の余地がありありだったんだなと感じる。

 あと、ミンメイの小悪魔度が相当高まってました。
演技やビジネスで初めて会った輝にキスできる彼女は本当のプロだなw
でも、一視聴者としてはそれぐらい翻弄してくれた方がうれしい(笑)
後々輝が本能的に未沙を選ぶのもわかる気がするよ。
まぁ、アニメと違って既に輝と未沙の肉体関係ができてたらしいので、輝も覚悟完了してたのもあるだろうけども。
飯島さんの演技にはとても満足。
輝にビンタされた後の「めんね」のアクセントの付け方は感動的なほどに絶妙でした。

 ゼントラン人の「デカルチャ」や「キースー」などのセリフは名言揃いですね。
独自のゼントラン語を作ったのは、ゼビウスで遠藤氏がわざわざゼビ語を作ったりしたのと根が一緒なんだろうなぁ。
カムジンの出番はあまりにも少なすぎて、そして、それで何も支障が出てなくて泣いた。

 マックスとミリアの対決は、アニメの消化不良感を補って余りあるものだったと思う。
マックスみたいなメガネキャラが頭脳だけじゃない天才描写をなされてるのは、明らかに当時のオタクの美意識(?)が表出してるよなぁ、と感じた。
そのせいで輝のパイロットとしての立ち位置はすごく中途半端だ(笑)

 後年のつじつま合わせで、この映画は戦後20年の記念映画ということになってます。
一方、アニメ版も後年作られたドラマ作品みたいな位置付けになっているらしく、そういう味付けはとても好きなのですが、そういった関係性を考えるに、輝って限りなく架空の存在なんじゃないかと思えてきます。
パイロットなのに、肝心な場面に参加してないし、態度が場当たり的に変わるのも、当時の人の色々な部分を寄せ集めたからそうなってるんじゃないかとか妄想します。
挙句の果てに、公式にも2016年には行方不明になってるし。
ま、だから何だと言われてもよくわかりません。

 今、「コミックマーケット創世記」という新書を読んでいるのですが、その本の舞台からわずか7~8年ほどの間に、オタクのメーンストリームが同人からプロに移って行ったダイナミズムに愕然としています。
愛・おぼ監督の河森さんなんて、当時24歳ですよ……。

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超時空要塞マクロスまとめ 

 全話見終わった後、買ったばかりの「アオイホノオ 3巻」を読んで、パソコンに向かってます。
あの時代の熱量を、少しでも吸収したくて。

 小さな時からテレビアニメで育ってきた世代が、作り手側として初めて結集して作った、見る側と作る側の要求が気持ち悪いぐらいに合致していた奇跡的な作品でした。
設定で引きつけて、早々に放送延長が決まって、制作側がボロボロになりながらも最後まで走りきったライブ感もかなりありましたし。
良かったところは、ミンメイの歌と戦闘シーンですね。
特に前者は、歴史的にも意義深い存在だと感じました。

 主要キャラクターについて、少し語ります。
一条輝は、先輩のフォッカーが軍人になったことを嫌悪しながらも、戦争に巻き込まれるうち、自らも戦火に身を投じていきます。
戦争にも恋愛にも流され続け、アニメ版では最後も状況に流されて軍人として生きることを決めます。
それをもって、優柔不断だとか批判されるのは酷だと思いますが、現代っ子的な気質が強いと感じました。
ボドルザー艦隊との決着の場面で、戦闘現場にいないロボットアニメの主人公という画期的な描写が、彼の立ち位置を端的に表しているのではないでしょうか。
戦後2年間、未沙に家の掃除までしてもらって、彼女の気持ちに気付かないというのは不自然極まりなかった。
戦後編は、輝の言動に疑問点が多く感情移入がしにくかったことも、三角関係の決着が釈然としなかった一因だと思う。
声優さんがかなり未熟でしたが、このアニメ全体として非常に意欲的に若手声優を起用しているので、そういうものだと割り切って見てました。

 早瀬未沙は、最終的に輝とくっつくヒロイン。
序盤の描写から結末を予想するのは、リアルタイム視聴では不可能に近い。
互いに軍人として接するうち、ゆっくり絆を深めていきました。
後が怖いので、あまり怒らせたくない女性です。
思ったことを素直に言葉に出さないんですよね……ツンデレというべきか、どうなのか。

 マクロスのアイドル、リン・ミンメイは、先にも書いたとおり、歌が素晴らしかった。
アニメの中では、最終回の締めにも使われた「ランナー」のカバーが一番好きです。
声優と歌手が同じという点に、大きな意味がある。
以降のマクロスシリーズにおいても、つい最近まで歌い手とキャラクターボイスが一緒だったことはないわけで。
「きまぐれオレンジ★ロード」で、鮎川まどかの歌を鶴ひろみさんが歌ってなかったのを知った時、自分がどれだけショックだったことか。(←知らんがな)
すぐには広まらなかったけれども、声優が「声も歌も」求められるようになっていくきっかけになったキャラクターでしょう。
飯島真理はこの作品のあと、10年以上ミンメイの呪縛にとらわれ続けることになるけれども、それもこの役柄があまりに革命的だった証拠に他なりません。
声の方も、周りが周りだけにそこまでひどいとは感じませんでした。
日高のり子も最初はこんな感じの声だったよなぁ、とか考えながら聞いてました。

 外せないのは、カムジン・クラヴシェラリン・カイフンの2人。
カムジンは手軽な敵役として、カイフンは恋愛模様をかき回すキャラクターとして、散々暴れまわりました。
そして、二人とも最後は物語から退場、映画ではロクに出番も与えられず……という、与えられた役回りが露骨に出ているかわいそうな人たちです。
カムジンは本当にいいキャラクターだっただけに、構想段階のように、ラプラミズと文化に励んで子作りしてほしかったなぁ、と思った。


 さて。
総括すると、相当に見ごたえのあるアニメでした。
後々の作品に影響を与えてる部分が本当に多い。
機動戦艦ナデシコなんて、作品の立ち位置からストーリーから、被る点が多くてびっくりだ!
あれやこれや考えを巡らせながら見て、分量は多くはないけれども戦闘シーンに燃えて、よくわからない三角関係に振り回されて、あっという間に36話終わってしまいましたよ。
三角関係の組み立てがちょっと不完全だったのかな、と、今なら思います。
流れ上やむなかったとはいえ、「戦後」が描かれているのも貴重ですね。
なんかこう、すっきりとしない気分で終わるのが、戦後らしい味になってました。

 さーて、「愛おぼ」(←これは何回か見てる)、「プラス」(←これも何回か見てる)、「7」(未見)、「F」(同)の方まで、流れていきますかね!

最終話「やさしさサヨナラ」 

★★★★

 ついに最終回。
一気に畳みかけて、やりたいことやって、そして、寂しさが残った。
「終わった」感は、かなり味わえました。

 展開は大きく分けて、三角関係の清算と戦後処理の2つ。
どっちも、単体の話としては上手くまとめてると思うんだけども、どうしてこうなってしまったのか、この結末しかなかったのか、どちらの展開にも、不満とは形容できないモヤモヤが残った。
作画は、序盤ちょっと怪しかったけど、おおむね普通でした。

 三角関係に決着がつき、輝は未沙とくっつくことに。
未沙が輝に別れを告げる場面を、「愛は流れる」で輝がミンメイに思いを伝えた場面と意図的に被らせた演出は面白かった。
輝も未沙も恋愛に関して同じようなスタンスだったから、ここまでくっつけなかったんだな、という点がよく伝わってきました。
ミンメイもよく粘ったけど、場面の緊急性で、輝が彼女を「振り切れた」のが上手いと言うべきかご都合主義と言うべきか、かわいそうと言うべきか……。
三角関係を扱う以上、決着をつければ誰かが泣きを見るとはいえ、ミンメイのその先は描かれてもよかったと思う。

 ……と思っていましたが、エンディングは飯島真理の「ランナー」。
サビで彼女独特の高音が響いた場面では特に、ラストのミンメイの雰囲気をまとったまま歌ったように感じられ、胸が締め付けられた。
この演出は、あのラストがあってこそ生きてます。
その上で、彼女の救済は「愛・おぼえていますか」で、ある程度試みられるけれども、あっちはあっちで……。

 あれだけフォッカーが軍人になったのを嫌がってた輝が、最終回で自らが軍人を続ける道を選んだのは、話の趣旨としては当然そうなるだろうけども、現実にも通じる話で考えさせられた。
前回の輝のセリフ「みんな毎日、いろんなものをポロポロ落としながら生活してるんだ」が、重いな。

 戦闘パートのクライマックスは、カムジン一家の特攻で幕。
カムジンが良い男すぎて、エピソードそのものは綺麗にまとまっています。
「あとで文化しようぜ」は名ゼリフ。
ただ、ストンと落ちないのは、グローバル艦長が語った、宇宙移民の動機、つまり、今後も異星人の侵略が予想される、というのに絡めて「戦後編」をやれば、カムジンが悪者にされることもなかったのに、というモヤモヤ感があるからです。
たしかにゼントランの武装蜂起はあるだろうけども、それを主にして締めのエピソードにするのは、ちょっと弱いと思う。
ワンパターンだとしても、監察軍登場させて、ブリタイたちと手を結びながら撃退、という方が、最終回後には上手くつながるんじゃないだろうか。
ま、それじゃ1クール延ばした意味がないけど。
あの特攻で未沙が普通に生きてるのには、ちょっとびっくりした。

 ところで、エンディング前、最後のアルバムを閉じる女性の手が誰のものか、議論に決着がついていないそうです。
自分は未沙だと思っていたのですが、違うんだろうか……実際のところ、輝が閉じるのが「正解」だとは思うのだけれども。
全体を通した感想は、別エントリーにします。

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第35話「ロマネスク」 

★★★★★

 最終回を前に一気にテンションを上げてきました。
作画が気合入ってたなぁ。
やっぱり絵は重要だ。

 落ちぶれた感じのミンメイがすごくイイ!(笑)
何かこう……背徳感に訴えるものがあるよね。
これも、万人には好かれないだろうキャラ造形があってこそだろうなぁ。

 輝に軍に入ることを薦めながら、存在が大きくなるにつれて「軍をやめて」と懇願するミンメイ。
何とも分かりやすいというか、自分に正直な人だ。
あれだけ未沙とフラグを立てておきながら、ラス前でここまでミンメイが巻き返したのにはビックリした。
輝が優柔不断なのもあるだろうけど、何だかんだ未沙とも2年間かけて何もないわけだし、ぎりぎりアリなのではないでしょうか(そうか?)

 未沙は未沙で怖い女ぶりを発揮。
ドアのカギ云々で間接的に輝に心情を伝えるのが強烈。
あの後で輝はよくミンメイとデカルチャできたな……。

 場面は前後するけども、雨が夜更けすぎに雪に変わるようなクリスマスイブの夜にランニングシャツで寝る輝と、上だけしかパジャマ着てないミンメイはどうなんだ。
ヒワイです!とか突っ込みたいのは置いておいて、明らかに風邪ひきそうな気がする。
きっと未沙はそこまでしっかり見ててあんな嘘をついたんだなw

 カムジン一家が修理技能を手に入れて、材料調達に工場襲って戦闘に。
「搦め手は使えない」と予想したエキセドルの上を行って、鮮やかに退却していったカムジンに惚れた。
戦闘シーンは作画頑張ってたなぁ。
変態的なミサイル弾道とかはなかったけども、伝統的な表現法をうまく使ってました。
この頃メーンスタッフはもう映画の方に取り掛かってたみたいですし。
ミリアとラプラミズの直接対決も見られたのもよかった。
技量はミリアの方が上なんだろうけども、感情的に微妙に倒しきれない感じが出てました。

 予告は短時間で簡潔。
あと1話で、どう落とし前をつけるのか。

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第34話「プライベート・タイム」 



 色々とまさかの展開が……。
まずのっけから、自分で誘ったデートの約束すっぽかしてミンメイに会いに行く輝。
電話以外にも手立てはあるだろ!
まさかホントにぶっちぎってしまうとは。
朝からテンション高めな未沙が痛々しさを際立たせている。
そっちの世界の2010年代の技術力を生かしてほしかった。

 作画は気合入ってるところとそうでないところの落差が激しい。
メカと男には興味ないぜ!みたいなメッセージが伝わってきてちょっと笑えた。

 ミンメイからもらったマフラーを未沙に掛ける輝。
もう何が何だか……。
そこに気が回らないほど、早く会いたくて慌ててたとかそういう描写なのかもしれないけども、それにしても二重三重の意味でこれは酷い。
優柔不断とかそういうレベルでもないし。
前回と今回で、輝はびっくりするぐらい株を下げてます。
これは輝死ねと言われても文句は言えないw

 カイフンがミンメイのもとを去った。
この流れでまさかカイフン側から見切りをつけるとは……。
カイフンが「君は自分のことばかり考えている」とか、まともなこと言っていてビックリしたよ。
ミンメイにしてもカイフンにしても、難しい人間だよなぁ。
アイドルを偶像として描いていないのは、この作品のすごくいい点だと思います。

 指令センターでキムやシャミーにからかわれる町崎の存在感が気になる。
彼が登場する部分だけセリフ回しが古いのがかえってインパクトにつながってるという……(^^;)

 次回予告の尺が明らかに余ってた件について。
小原さんもっとしゃべって!
残り2話なのに、どうするんだろう……。

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