月別アーカイブ

 2011年12月 

カッコウの卵は誰のもの 

あらすじ
 元五輪選手の緋田宏昌がスキーヤーとしての夢を託した一人娘の風美は、実の子ではない。
愛娘の大舞台を前に、それを伝えられない葛藤が宏昌を支配する中、遺伝子が才能を決定づけることについて研究している柚木洋輔が父娘に目を付けた。
柚木が同様に注目した鳥越伸吾は、元登山家の克哉を父に持ち、クロスカントリースキーで才能の片鱗を見せつつあった。
不可解な脅迫状とそれに続いて起きた事故は、風美の隠すべき出生の秘密を、否が応でも暴きだそうとしていた。


 小説としては面白いけど、ミステリーとしてはどうなのかという一品。
この作品が当初描きたかったのは、不器用な親子の絆と、本人の望まない才能が他人に見出されるのは幸せなことなのか、というテーマだったと思う。
理系作家らしい始まり方で、おまけに自分の好きなスポーツも絡んでいるので次々とページを繰っていったら、謎ときが思いのほかひねくれていて戸惑いました。

 物語が終わった段階で、宏昌と柚木の間には固い信頼が芽生えたけれど、風美と柚木の関係はそれほど深まっていないはず。
風美が気持ちのいい子だったので、問題が先送りされただけなのではと思わないでもない。
そして鳥越伸吾のクロカン選手との交流が、読後重い感じで横たわっているのが、何とも言えません。

 納得はしたけど、バットエンドでもないのにスッキリはしない一冊でした。
大人のエゴが最後まで子供を振りまわし続けてたからかなぁ。
ま、面白かったんですけどね。

スポンサーサイト