ライジングガール!~人見絹枝物語~ 

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 世の中には物語より奇なことが割とある。
漫画の登場人物以上に、主人公な人間もいる。
日本女性初の五輪メダリスト人見絹枝は、そういった人物の1人。
その太く短い人生を、テーマを絞って紹介している。

 日本の女性が今より自由に生きられなかった大正~昭和時代前半が舞台。
抜群の運動能力を持った人見絹枝は、力のある人間が、存分に力を発揮できない社会構造を変えようと、世界トップクラスの女性アスリートとして、大阪毎日新聞の記者として奔走した。
物語のクライマックスは、陸上女子が解禁された1928年のアムステルダム五輪。
本命の100メートル走でまさかの大敗を喫した人見は、全く練習していない800メートル走に急遽エントリーし、従来の世界記録を大きく上回っての銀メダルを獲得する。

 フィクションなら現実味がなさ過ぎてボツ、のパターン。
でも、それができてしまう時代だったし、それだけの力を持つ人間が、現実にいたのだ。
対外的には、恵まれた先進国の選手を打ち破るだけの国力を持つまでになったと、急成長する途上国・日本をアピールすることになった。
彼女自身にとっても、それが原動力の一つだった。

 24歳での夭逝は、銀メダル獲得からちょうど3年後の1931年8月2日。
3年間の大半は、選手を続けながら指導者として、女性アスリートの地位向上活動を続けていた。
それが実を結んだかといえば否、彼女の死後、日本は国際的に孤立し、流れは断絶した。
時代が早すぎたために、彼女は礎としてではなく、伝説として語られるのだ。

 人見自身は才能と縁に恵まれ、死ぬまで競技に関われた。
だが、物語の中では、経済的事情や社会的事情、学歴によって、志半ばで競技を諦める人物が次々と登場する。
「そういう時代だから」と片付けてはいけない。
今だって程度が違うだけで、状況は変わっていないのだから。

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