デッドコピー 

 絶版マンガ図書館で読みました。
がぁさんの未単行本化作品。
2002年、ヤングキングアワーズライトで4話集中連載された全96ページの中編です。
http://www.zeppan.com/book/detail/42471









 ヒトクローンをテーマに近未来をシミュレーションしていて、深く考えさせられる。
あながち笑い飛ばせない舞台設定だと思うが。
思索を邪魔させないために、人間関係と画面の情報がシンプルなのも好感。
ベテランの力を感じます。

 ヒトクローン技術が確立された時代、犯罪被害を救済する場合のみ、クローン技術による「復活」が認められた。
19歳で殺された栗原志保は精神のバックアップを取ることを怠っていたため、14歳の記憶で復活してしまう。
当時と現在のギャップに戸惑う中、クローン差別主義者で元恋人の緒方や、「最も多く死んだ男」だというクローンの高津が近づいてくる。
誰が、何が正しくて、真実はどこにあるのか…志保は劣化コピーされた自分に足りないピースを探し続ける。

 以上あらすじ。
何となくクローンのイメージって、「今自分が二人いれば楽なのに」みたいな願望とセットで考えられがちですが、そんな運用は多分無理なわけで。
そのあたり、現状の倫理観でギリギリ認められそうなのが、不慮の死を救うものだというのは、理解できる。
前提となっている記憶のバックアップ、持ち越しは多分にファンタジーだけど、そこが物語の肝でもある。

 作中冒頭でも言われているとおり、肉体の器に元の記憶と人格が移植されて、初めて生き返ったといえる。
だから、志保のように5年間も空白がある記憶、人格はデッド(劣化)コピーに過ぎない。
さらに、死んで初めて適用されるクローンだから「デッド」コピーなわけだ。
タイトルがダブルミーニングなんですね。

 感想でネタバレすると面白くない類の作品なのであまり書きませんが、これから読む人に伝えたいのは、冒頭でバックアップとるときの14歳志保が異様にヒロインらしくないデザインなのは、ちゃんと理由があるので果敢にページをめくっていってほしい、ということ。
短い作品なのですぐ読み終わるのも良い。
ジャンプ、マガジン、サンデーあたりを読んでると忘れがちだけど、絶版どころか版すら起こされない作品もあるわけです。
そんな中でも、この作品みたいに作者の思い入れや強いメッセージが込められている作品はあるわけで、そういうものが読めるというのは、本当に幸せな時代なのかもしれません。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://alib.blog9.fc2.com/tb.php/533-3d6678da